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大阪高等裁判所 平成7年(ラ)794号 決定 1995年12月11日

抗告人(債権者)

大宝建設こと

野田武臣

右代理人弁護士

勝部征夫

高橋司

桑森章

木村哲彦

抗告人補助参加人

合資会社有萬

右代表者無限責任社員

山口喜央

右代理人弁護士

門間秀夫

被抗告人(債務者)

株式会社杉組

右代表者代表取締役

杉喜美丸

右代理人弁護士

山川富太郎

被抗告人(債務者)

下山勇

下山つや子

伊佐正憲

右三名代理人弁護士

間瀬場猛

谷田豊一

被抗告人(債務者)

佳元俊郎

山崎治男

山崎道子

葛西礼子

悦田忠臣

大牧サヨ子

右六名代理人弁護士

井上直行

被抗告人(債務者)

兼濱利幸

横田光司

横田みゆき

里見勝弘

里見善徳

里見憲子

石井睦人

主文

一  本件即時抗告を棄却する。

二  抗告費用は抗告人の、補助参加の費用は同補助参加人の各負担とする。

理由

第一  本件抗告の趣旨及び理由

別紙即時抗告申立書及び抗告人補助参加人の主張書面(各写し)記載のとおり

第二  当裁判所の判断

当裁判所も、抗告人の本件仮処分の申立ては理由がないものと判断する。その理由は、原決定の理由説示と同一であるから、これを引用する。但し、原決定二枚目裏六行目の「分譲住宅」を「車庫付分譲住宅」と改め、同五枚目表三行目の「甲二三号証」の次に「に」を、同六枚目表二行目の「申合せ」の次に「又は暗黙の了解事項」をそれぞれ加える。

(抗告理由について)

1 本件私道が自動車の通行に適していないこと、被抗告人らが本件私道につき原則として自動車の通行を自粛していることは疎明資料から一応認められるから、原決定が、本件私道につき、従前の取り決め内容や利用形態、道路の幅員・形状等を理由に、通行の自由権としても、また、囲繞地通行権としても、抗告人に対し自動車による通行を認めなかったことは相当である。

2  抗告人は、本件私道への緊急車両の進入を云々するが、抗告人は、緊急自動車を保有しているわけではないし、本件私道の通行に関して、抗告人の想定している普通の自動車と緊急車両とを同列に論じることはできないから、右の主張は失当である。

3  抗告人補助参加人は、車庫付建物の分譲を予定する者にとって自動車による本件私道の通行は日常生活上必須不可欠であると主張する。

しかしながら、本件私道は、従前の取り決め内容や利用状況、道路の幅員・形状等からみて、自動車による通行が不適切な土地であるから、自動車による本件私道の通行につき被抗告人らの同意が得られない以上、抗告人としては、車庫無しの建物の分譲を計画すべきであり、したがって、このような場所において車庫付建物の分譲を予定したこと自体が間違っているのであるから、そのような者にとっての日常生活上の必須不可欠を前提に自動車の通行の可否を論ずることは本末転倒といわざるをえない。

4  本件私道は二項道路であるが、抗告人補助参加人は、二項道路につき、子供の遊び場等に利用することは許されないと主張する。しかし、従来、子供の遊び場として利用されていた路地が二項道路となったからといって当然に子供の遊び場としての利用が禁止されるものではなく、右の主張は採用することができない。抗告人補助参加人の引用する判決例は本件事案における引用判例として不適切である。

5  抗告人補助参加人は、自動車通行自粛の申合わせの効力は第三者である抗告人に及ばないと主張するが、原決定は、被抗告人らの右申合わせの効力が抗告人に及ぶことを理由に自動車による本件私道の通行を認めないと判断しているものではないから、右の主張は的外れの抗告理由というほかない。

6  抗告人及び同補助参加人のその余の主張は、独自の見解に立って原決定を論難するか、原決定を正解しないものであって、採用することができない。

他に、原決定を取り消すべき違法はない。

第三  よって、本件仮処分の申立てを却下した原決定は相当であり、本件即時抗告は理由がないから棄却し、抗告費用は抗告人の、補助参加の費用は同補助参加人の各負担として、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山本矩夫 裁判官 笹村將文 裁判官 谷口幸博)

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